地球環境と住宅


(有)岩手ハウスサービス 安藤敏樹
これまでの負の遺産
いま地球環境が破壊されつつあるという実感が、いったいどれだけの人にあるだろうか。新聞や雑誌、テレビで見聞きしていても、空や海の青さ、山々の緑を目の前にした時、「本当に地球環境が日々破壊されているのかな?」と、私など思ってしまう。
しかし、環境破壊は確実に進行している。オイルショック以降、私たち建築家は、省エネルギーに貢献するからと言って、ポリスチレンやウレタン等の断熱材を多量に便用し、結果として地球温暖化の元凶である特定フロン(CFC‐11など)をなんの疑いもなく排出し続けてきてしまった。フロンは人間が造り出した最高の物質で、断熱材の発泡剤のみならず、冷蔵庫やエアコンの冷媒、金属や半導体の洗浄剤、身近なところではスプレ−缶やドライクリーニングなどの用途に広く使用されてきた。

しかし、フロンは非常に安定した物質であるので、地上で分解せずに成層圏に達するため、オゾン層破壊や地球温暖化の原因のひとつになつているのである。
1995年末、特定フロンの生産は中止され、オゾン層破壊の度合いが小さい代替フロン(HCFC-141b)が現在は便用されている。けれど、これも2003年末には全廃前倒し実施の予定だ。2004年以降は次世代発泡剤(HFC類)が採用される(HFCはオゾン層破壊係数は0)が、ある断熱材メーカーでは、すでに水発泡での製品化に成功している。

建築家が取り組むべきこと
このように、徐々にではあるが、メーカー側では地球環境に負荷をかけないための対応をしてきている。では、私たち建築家は、どのように地球環境に負荷をかけない住宅造りに取り組むべきだろうか。その答えのひとつが、自然素材や再生産が可能な材料を使った家造りであろう。
自然素材といえば、まずは木材である。乾燥状態にあれば何十年と使用可能で、現に神社や仏閣では、建築後何百年の木造建築物がたくさんある。それは、自然再生サイクルを越えた年数であるため、乱伐採による森林破壊にはならない。
そして、畳はわら床を使い、障子や襖には月桃紙やケナフ紙を使う。紙を作るための森林伐採も深刻だ。繊維がとれるものならパルプは作ることができる。月桃やケナフのように、繊維がとれるうえに成長も早く、環境負荷の少ないものを使用した方がよい。ミツマタを原料とする日本の紙幣も、こうした非木材紙の一種である。

次に土であるが、現在では土壁を施工できる左官職人が減り、土壁の住宅を造る事は困難になってきている。せめてビ二−ルクロスではなく塗り壁(しっくいや珪藻土)にする事を考えてみたら良い。
このように、わずか十数年で建て替える住宅から脱却し、地球環境に負荷をかけない、リフオームしながら永く住まうことのできる住宅をめざすことが、いま住宅建築家に求められていることではないだろうか。
( いわての住まい 1999年冬4号掲載 )



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