住宅性能や素材選択の根拠を
生活者に明示する役割と責務。


(有)岩手ハウスサービス 安藤敏樹


地盤調査から断熱・気密性能の確保まで
 住宅はいうまでもなく、生活者が個人でする最高額の買い物であろう。にもかかわらず、住宅性能を書類で明示するといった行為がいまだに住宅業界、あるいは生活者の消費活動のなかで浸透していないことに、驚きを隠すことができないでいる。

 例えば、建物が高性能で長持ちするように造っても、あるいは、基礎をいくら頑強に造ろうとも、地盤がしっかりしていなければ、結局十数年、二十数年で建て替えとなってしまうこともある。地盤が弱い場合には補強を勧め、調査終了後は結果報告書を提出するといった行為がこの業界でどれだけ徹底されているだろうか。いまになってようやく、高断熱・高気密工法が普及してきてはいるものの、注文住宅の場合は、建物の形や開口部の大きさ、数量が一棟一棟違う。カタログに記載されている性能数値が、これから注文建築する住宅の性能数値になるとは限らない。

各種材料の一酸化炭素発生量
  40℃/min昇温時 800℃固定時
塩化ビニール 4,390ppm 5,590ppm
ウレタンフォーム 6,215ppm 5,935ppm
ポリスチレンフォーム 5,590ppm 12,910ppm
フェノールフォーム 14,265ppm 13,080ppm

硬質ウレタンフォームのホルムアルデヒド放散量

試験方法 測定値
JIS A 1460(テシケーター法) 検出せず
JIS A 1901(小型チャンバー法) 5μg/m2・h以下
 一棟ごとに熱損失計算や気密測定などを行い、それらを文書にして明示し、提出するといった行為は、住宅建築に携わる者の良心以前に当然の義務といってもいいだろう。
 熱損失係数は、予想される年間灯油消費量やオール電化の場合の電気料にも直結する。気密性能も同様である。住宅金融公庫の現在の気密住宅の基準は隙間相当面模で5.Ocm2/m2、国の次世代省工ネルギー基準でも2.0cm2/m2となっているが、当社の気密性能はその4〜10倍の0.5cm2/m2以下を保証し、すでに15年になる。

 気密性能の善し悪しは、換気性能にも直結する。換気量や給気口・排気口を設置する場所は、一棟ごと綿密な計算によって算出され、総換気量は居住者の人数や住宅の規模、キッチン・溶室、トイレなどの水周り部分の各換気量を比較し、最も大きい値を採用する。

 シックハウス対策も重要だ。当社では内装には無垢パイン材や珪藻土、ドアにはパイン無垢ドアなどを使用し、玄関ドアや窓などの開口部には、木製トリプルガラスサッシを採用するなど、できる限り自然材を基本としている。
 引き渡し時には、ホルムアルデヒド濃度調査を行い、それに関しても報告書を提出。これらの行為は、そこに住まう家族の健康を守るための基本中の基本であり、デザイン以前の段階で遵守されるべき事項であると思っている。

硬質ウレタンフォームを採用する確かな理由
 高断熱・高気密住宅を考える際に、よく聞かれるのが工法の詳細と採用する断熱材の特徴についてである。当社では外断熱を主体に、断熱材には硬質ウレタンフォームを使用している。硬質ウレタンフォームは、建築に使用される断熱材のなかでも最も断熱性能が優れた素材であり、さらに機械的強度、耐湿性等プラスチック系断熱材特有の利点を備えた材料でもある。当社で採用しているBBボードはこの硬質ウレタンフォームの両面を難燃加工面材で挟んで、より総合性能を向上させている。

 室内空気汚染の原因になるような物質は含まれていないかどうかといった質間も少なくない。硬質ウレタンフォームや表面の難燃加工面材には、基本的にホルムアルデヒドやその他の揮発性物質は含まれない。硬質ウレタンフォームの自己接着力で張り合わさっているため、接着剤の影響もない。
 火災時における燃焼性については、繊維系断熱材の工法を採用する同業他社から、しばしば「攻撃」を受ける事項でもある。確かに、硬質ウレタンフォームを含むプラスチック系断熱材の多くは、燃焼時に一酸化炭素などの有毒系ガスを発生することで知られている。しかしBBボードは難燃加工面材によって火災発生時の基材への着火を大幅に遅らせ、これに加え、壁断熱材の室内側に火山性ガラス質複層板(ダイライト)を貼ることなどで、火災が発生した場合も燃焼ガスの室内への侵入を遮断する方法もある。
 実際の火災では、初期の低温段階からあらゆる可燃物の燃焼により多量の一酸化炭素が発生し、それがガス中毒死の原因になる。従って、燃焼に関して硬質ウレタンフォームなど窒素含有物質の特異性だけを指摘するのは間違いであり、すべての可燃物から発生する一酸化炭素の危険性を忌避した危険な意見ともいえるだろう。

 シックハウス対策の視点ではどうだろうか。ホルムアルデヒドの発生に関しては、樹脂系断熱材であるフェノールフォーム、ユリアフォームなどからは放散される可能性がある。尿素系樹脂はもともとホルムアルデヒドが原料であり、末反応の残留分があるためである。グラスウール、ロックウールなどの繊維系断熱材は無機物なので本来VOCには関係ないはすだが、接着剤(バインダー)として尿素やフェノールを使用しており、これらの接着剤からホルムアルデヒドが放散される可能性は高い。これらの断熱材は合板や木質系ボード類とともに「第l種ホルムアルデヒド発散建材」に定められている。

 シックハウス法による使用制限を受けないようにするためには、原則として小型チャンバー法試験による個別認定でF☆☆☆☆等級を取得する必要がある。硬質ウレタンフォームはホルムアルデヒド発散建材ではなく、こうした個別認定を受ける必要はない。小型チャンパー法は非常に精緻な測定法であり、空気中のごく微量のホルムアルデヒドを感知してしまう。測定値がゼロということはないだけに、建材や家具だけでなく、日用雑貨も含めた検討が求められてくるだろう。

 このほか、従来ノンフロン発抱法として採用されてきた水発泡法の粘着性や安定性などを解決した「超臨界二酸化炭素」を利用した独自の発抱法、製造時に生じる端材や新築現場での残材などを粉末化して木チップに混入し、熱圧成形したりサイクル性の高さなど、細やかな視点からの環境への配慮もBBボードならではである。
 断熱工法選択の際の材料としていただければ幸いである。
( 家と人。 2004年春8号掲載 )
 注文住宅の場合は、建物の形や開口部の大きさ、数量が一棟ごとに違うため、一棟ごとに熱損失計算や気密測定などを行い、それを文書にして提示されるべきである。ビルダーがなぜこの工法を選択し、使用される断熱材の性能的な裏付けをどう捉えているかも確認。
素材の選択、デザイン性なども重要だが、住宅の基本性能の裏付けや根拠を明示することは、家族の健康と安全を守る基本中の基本にほかならない。写真は盛岡市A邸。木製トリプルガラスサッシや珪藻土、無垢材などがふんだんに使われた室内。



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